人は土を離れて生きられない:農地と環境の科学
食料生産の基盤である生産性の高い農地なしに、増え続ける地球人口を養うことはできません。現在、世界の農地をみると、乾燥地での塩類集積と農地の荒廃、多量の化学肥料の投入と流出による地下水汚染や湖沼の富栄養化、潅漑のための水資源不足など、様々な環境問題が生じており、自然環境を保全しつつ生産性を持続させることは容易ではない大きな課題です。ゆえに、現場の個別問題を自然の法則性や物質の普遍的な特性に基づいて解明し、問題を解決する高度の科学性が求められます。とくに、植物の生育・生産と生態系を条件づける水と土と、そこでの物質循環に関する科学と技術が不可欠です。一方、フィールド科学においては、対象の構成要素を全体から切り離して分析するよりも、全体の中で問題の本質的プロセスを見極め、それに即した研究方法をとることが重要です。本研究室は、土と水に関する科学を基礎として、現場での測定・モニタリング、GIS、モデル実験やコンピュータシミュレーションなど様々な手法を磨きながら、オブジェクト・オリエンテッド(対象重視)の姿勢でこの課題に挑んでいます。
・農地(水田・畑)からの降雨流出や蒸発散量を測定し、農地の洪水緩和機能や排水性を評価する
・農地(水田・畑)や流域スケールでの放射能汚染の移動実態およびそのメカニズムを解明する
・農地(畑)における窒素循環や窒素収支を求める
・乾燥地における多様な条件下での水・物質移動や塩類集積を解析する
・高位で安定した農業生産のための農地整備・管理技術を研究する
教員
教授:吉田 修一郎
准教授:西田 和弘
連絡先等
03-5841-5344
http://www.land.en.a.u-tokyo.ac.jp/
agyoshi(AT)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
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