グローバルな地球温暖化などの原因により、それぞれの地域での農業生産を巡る自然条件が変化し、農業の持続的生産や農村環境が大きな影響を受けることが危惧されています。エコロジカル・セイフティー学講座は、全部で4つの専門分野(研究室)で構成される大学院の講座で、生物・環境工学専攻に大気環境学・土壌環境学・物質循環学・生態系計測学の4研究室が置かれます。本講座は安全な農業生産の基礎となる環境について基盤的かつ先進的な研究を進めている国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門等(つくば市)の研究員で構成される学際的な連携講座で、農研機構内の最新の研究施設を利用した研究教育を行なっています。
大気環境学研究室
准教授 小野 圭介
作物の生育は日射や気温等の気象環境に大きな影響を受ける一方で、蒸発散等を通じて気象環境に影響を与えています。そのため、作物群落の周辺には微気象と呼ばれる複雑な気象環境が形成されています。微気象は、より大きいスケールから見ると、作物群落と大気の間でのエネルギーやガスの交換過程の一部と捉えることもできます。本研究室では、そのような作物生育と環境の関係を把握する上で大変重要な微気象や生態系−大気間のエネルギー・ガス交換に関して、圃場計測を中心に様々な研究を行っています。
連絡先等
029-838-8239
https://researchmap.jp/onok
onok(AT)affrc.go.jp
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土壌環境学研究室
教授 山口 紀子
土壌中に存在する化学物質には、動きやすく、植物に吸収されやすいもの、動きにくく土壌に蓄積していくものがあります。土壌中での動きやすさを決める鍵となるのは、物質の化学形態です。物質の化学形態は、土壌環境に応じて変動します。本研究室では、ヒ素や放射性核種などの有害化学物質がどのような化学形態で存在し、土壌構成成分や肥料元素とどのように影響しあっているかについて研究しています。また、土壌の機能などミクロな世界の研究についても、シンクロトロン放射光や高磁場核磁気共鳴装置など最先端の分析装置を用いて挑戦しています。
連絡先等
029-838-8315
nyamag(AT)affrc.go.jp
※(AT)は@に置き換えてください
物質循環学研究室
教授 和穎 朗太
陸上生態系が健全に働くには炭素、窒素、リンなどの物質循環が必須であり、その循環の要に土壌があります。その中でも、炭素および養分の大部分を保持する土壌有機物は、土壌の物理構造、化学反応、微生物の生態と密接に関わり、また土壌肥沃度や植物生産性を規定するため、持続的農業や劣化した生態系の回復に重要です。私達は土壌学、生態学、生物地球化学をべ―スに、土壌有機物(C, N, P)の貯留や分解、そして自然土壌の発達や人工土壌団粒形成に関する研究を行っています。
連絡先等
029-838-8327
https://researchmap.jp/read0143019
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生態系計測学研究室
教授 山中 武彦
近年、人間活動の拡大により野生生物の生息地減少や環境汚染が進行し、生物多様性の劣化が顕著になっています。その一方で、農地拡大や地球温暖化の進行により農作物を加害する病虫害の被害拡大が懸念されています。こうした問題に取り組むためには、問題を引き起こす要因の評価と定量化が重要です。
本研究室では、生物集団や生物群集の変動を、記述統計を使って定量化し、数理モデルやシミュレーションモデルによって影響評価する手法を学びます。
連絡先等
070-3068-3477
https://researchmap.jp/read0142259
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