グローバルな地球温暖化などの原因により、それぞれの地域での農業生産を巡る自然条件が変化し、農業の持続的生産や農村環境が大きな影響を受けることが危惧されています。エコロジカル・セイフティー学講座は、全部で5つの専門分野(研究室)で構成される大学院の講座で、生物・環境工学専攻には大気環境学・土壌環境学・物質循環学・生態系計測学の4研究室が、そして生圏システム学専攻には農村緑地生態学研究室が置かれます。本講座は安全な農業生産の基礎となる環境について基盤的かつ先進的な研究を進めている独立行政法人農業環境技術研究所(つくば市)の研究員で構成される学際的な連携講座で、農業環境技術研究所の最新の研究施設を利用した研究教育を行なっています。
 

 大気Atmosphereと生物圏Biosphereの相互作用に関する様々な研究を行っています。生態系構成要素である土壌や植物による各種ガス(温室効果ガスや温室効関連ガスである炭素系ガス、酸素、水素等)の交換過程と生態系での収支解明に関する研究をフィールドおよび実験室で精力的に行っています。また、地球温暖化が環境に与える影響を早期検出するための観測的研究をチベットをフィールドとして展開しています。一方、遺伝子組換え体作物が周辺環境に与える影響について、大気生物学的視点から研究を展開しています。これらの研究内容は農業活動をはじめとする人間活動が密接に関わっています。また、これらの研究内容は複雑であることと総合的・広域的な現象解明につなげるため、関係を整理しモデル化を行っています。さらに、これらの研究内容は極めて学際的ですので、他大学や他研究所との連携により推進されています。

URL
http://www.niaes.affrc.go.jp/researcher/yonemura_s.html

 
教授
米村正一郎
 

 土壌は農業生産のみならず人間が生存していくための環境の基盤です。本研究室では、農業生態系における土壌の役割と意義を明らかにし、土壌の持つ機能を環境保全に活かすためにミクロからマクロに至る広範な視点で研究を進めています。ミクロな視点では、土壌中での炭素と窒素の循環メカニズム、特に、温室効果ガスであるメタンや一酸化二窒素(亜酸化窒素)生成プロセスに注目しています。また、マクロな視点では、流域単位での窒素などの物質の動きを探るとともに、農耕地からの温室効果ガス発生量を評価し、その削減技術を開発するなど、環境負荷と土壌の役割を研究しています。

URL
http://www.niaes.affrc.go.jp/researcher/ygi_k.html

 
教授
八木一行
 
 

 東アジアは、1980年代以降急激な経済発展を遂げつつあり、それに伴って農業も変化してきました。1980年から現在までに人口は約1.4倍に、穀物生産量は約1.6倍に増え、この生産のために窒素肥料を2.3倍も使うようになりました。肉類の消費増加など食生活の変化も見られます。物質循環分野では、主として東アジアを対象に、「食料生産が環境に与える影響を物質循環の変化から考える」ことをテーマに研究を進めます。国や自治体などの統計データやGISデータ、また、降水や土壌、河川水などに関する現地調査データに基づいて広域モデルを作成し、窒素などの負荷が地下水・河川水など水環境へ与える影響を広域的に推定しています。また、農業から発生したアンモニアが大気を経由して森林など自然生態系へ与える影響についても関心を持っています。

URL
http://www.niaes.affrc.go.jp/researcher/shindo_j.html

 
教授
新藤純子
 

 生態系に関わるさまざまな実験・観察データは統計学的にみて適切な分析とモデル化が必要です。とくに本研究室では、生態系を構成する生物多様性に関わる定量的データ分析に重点を置いて研究を進めています。たとえば、生物多様性は生態系における環境と生物との進化的相互作用の帰結ですが、生物多様性の「いま」を知るためにはそれがたどってきた「歴史」を客観的に推定するための手法の開発が必要になります。遺伝子の塩基配列情報や形態のもつ定量的情報からどのようにして生き物の「過去」を復元するか−−そのための系統学的手法を開発し、それを多様性の評価や保全生物学に応用する研究を行なっています。さらに、生き物の「かたち」を数学的・統計学的に分析する形態測定学や生態系の中での複雑な生物現象を記述するための統計モデリングも行なっています。

URL
http://www.niaes.affrc.go.jp/researcher/minaka_n.html

 
教授
三中信宏